Round8 Hori Tetsuya vs. Fujimoto Mikio

By Shimizu Naoki


長かった8回戦のスイスラウンドもついに最終戦を迎えた。このラウンドのフィーチャーマッチは、もちろんベスト8を賭けた戦いをお送りする。
両者のポイントは堀が19点、藤本が18点。本来ならIDで両者とも抜け・・・と言いたい所なのだが今回の参加者は256人。この人数ではトップ8に入ることは確実とはいえない。
そのためこうした順位でもゲームが行われることとなった。
勝てばベスト8。「決闘」がいま始まる。

先攻後攻はダイスロールで決定・・・なのだがなかなか決まらない。
「仲がいいですね」と皮肉ったりしつつ、4回目のロールの末先攻は藤本に。


Game 1
互いにマリガンは無し。
《森/Forest(TSP)》から《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》と順調に始めた藤本に対し、堀は《森/Forest(TSP)》を置くのみでターンを終える。
続くターンに《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を呼んだ藤本。《繁殖池/Breeding Pool(DIS)》を置くと堀が苦笑い。
それもそのはず、なんと堀も藤本も青緑の《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》を軸にしたビートダウン、Scryb&Forceである。ミラーマッチなのだ。
早くも2ターン目に4マナを並べるスタートを切った藤本に対し堀は《島/Island(TSP)》を置くのみ。これは流石に厳しいか。
藤本は《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》で攻撃した後、さらに《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》をキャスト。

堀はこのターンエンドに《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》を召喚してはみるものの、明らかに場は藤本優勢だ。
その後《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を戦線に加える堀だが、藤本の猛攻は止まらない。象トークンとドライアドで攻撃して堀のライフを12に削ると更に《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》を召喚する。
なんとかしなければならない堀、《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》と《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》で攻撃を加えた後、《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》をプレイ。
だがこれは待ってましたとばかりに藤本《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》が牙を剥く。
守りを固めようとしたはずの堀、天秤は更に藤本へ傾いた。
次のターン、全軍を攻撃させた藤本に対し、《粘体マンタ/Plaxmanta(DIS)》で答える堀。更に《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》の能力で《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》もアンタップしてブロックへ狩り出し、《粘体マンタ/Plaxmanta(DIS)》で《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》を一方的に殺しつつ残りはチャンプブロックして守るが、それでも6点のダメージが与えられる。
攻め手を止めない藤本、さらに《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》をフラッシュバック。だが堀は何もせずターンを返す。場には《粘体マンタ/Plaxmanta(DIS)》しかない。一見堀はノーガードだ。
《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》象トークン2体、《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》という軍勢の総攻撃に対して堀は《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》《粘体マンタ/Plaxmanta(DIS)》を召喚しチャンプブロックによってなんとか耐えようとする。これでライフは4。
しかしライフが4といえば・・・

《心霊破/Psionic Blast(TSB)》。


藤本 1-0 堀
懐かしさを感じる1枚 


ミラーマッチの鍵を握る、両者のサイドボーディングに注目してみよう。
後手になる藤本は《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》2枚と《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation(TSP)》3枚をサイドアウトして《撤廃/Repeal(GPT)》を4枚、追加の《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》を投入した。これに対し先手になる堀は《心霊破/Psionic Blast(TSB)》3枚アウトして《撤廃/Repeal(GPT)》を3枚入れるのみに留まった。

緑系ビートダウンの同系対決では俗に「コールゲー」と呼ばれる《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》の枚数勝負に陥ることが多い。これを意識して両者とも《撤廃/Repeal(GPT)》によってアドバンテージを取ろうという考えだ。また、堀はメインには《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》を取っておらずサイドボードに留めてあるのだが、《撤廃/Repeal(GPT)》を喰らうことを考えて《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》の投入は見送った。


Game 2
先攻後攻の差、1ターン目のマナクリーチャーの差で敗れた感がある堀が今度は先攻に。
祈るようにデッキをカットに出す堀。
対する藤本は1本目を取ったからか、冷静だ。
堀はマナクリーチャーはないものの満足のいくファーストハンドを手に入れた様子。だが藤本は「これは無理」とマリガンを選択。
藤本はセカンドハンドにも納得できず、ダブルマリガンに。
「今日15回目だー」とのこと。青緑のクロックパーミッションというデッキである以上、ある程度のマリガン数は覚悟すべきだが15回はなかなか凄い。
1ターン目には《繁殖池/Breeding Pool(DIS)》をタップインするのみで終えた堀に対し、ダブルマリガンの末ようやく手に入れたか、《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast(9ED)》から《極楽鳥/Birds of Paradise(RAV)》と滑り出した藤本。
堀はカウンターを警戒して2ターン目のメインフェイズに《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》を召喚。返しに藤本は《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を召喚した。1本目に続いて、ダブルマリガンながらも非常に順調だ。
堀はこれに対して《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》で攻撃しながら《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を召喚。だがマナクリーチャーによって先攻後攻が入れ替わった形になってしまっている。
藤本は《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》で攻撃しながら、《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》を戦線に追加する。

でかーい☆
この隙に、と堀は《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》を《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》で《森/Forest(TSP)》を戻すことにより5マナ捻り出して召喚。
しかしこれは6マナ払った全力《撤廃/Repeal(GPT)》によって一度ご退場。
《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》と象の攻撃を正面から受ける堀。
返すターンに再び《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》を呼び出すと、流石に《撤廃/Repeal(GPT)》の2枚目は無かったようで藤本の次の攻撃は《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》のみに留まる。藤本はメインフェイズで《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》を召喚、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》をアンタップして実質フリースペルの状態にしつつターンを返す。
この時点で藤本の手札は1枚。立っているマナは1青青緑。これに若干悩みながら堀は《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak(RAV)》を《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》にエンチャントして大怪物を出現させることを試みるが・・・予定調和的に《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》に噛み付かれる。
とはいっても8/8はデカい。そして横には《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》。殴らない理由がない堀は《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》を残して《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》と《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》で攻撃。全軍ブロックによって《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》は落とすことはできるものの当然そんなことはできない藤本、これをスルー。
返すターン、全てを賭けた藤本の全軍突撃!
だがしかし堀の《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》の瞬速出現を確認するとカードを片付け始めた。


藤本 1-1 堀

再びサイドボーディング。今度は先攻の藤本、《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》を戻して《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》1枚アウト。堀は変更無し。


Game 3
再び先攻の藤本、ファーストハンドに顔をしかめ、悩んだ末これをキープ。
後手の堀。初手を見るとすぐにキープを宣言した。
藤本は《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven(TSB)》から《極楽鳥/Birds of Paradise(RAV)》スタート。実に3戦連続のマナクリーチャースタートだ。
一方堀はまたもマナクリーチャーでのスタートを切ることが出来ない。
2ターン目に《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》を召喚した堀、3ターン目には《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》で攻めに出ようと試みるも、これはまたしても藤本の《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》の餌食となる。
ドローすると苦い表情を見せる藤本、それもそのはず、手札にはもう1枚の《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven(TSB)》が。《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》と《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》で攻撃をしてターンを返す。
堀は今度こそと《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を召喚しようとしてみるものの今度は《差し戻し/Remand(RAV)》がこれを阻む。藤本は返すターンに《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》を追加、カウンターの援護のもと一気に畳み掛ける狙いだ。
堀はもう1度《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を呼び込むも、これには再びの《差し戻し/Remand(RAV)》。
返すターン、藤本の《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》と《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》が攻撃を仕掛けると堀は《粘体マンタ/Plaxmanta(DIS)》を召喚した。手札に《撤廃/Repeal(GPT)》《心霊破/Psionic Blast(TSB)》があるが《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》を場に残したくないと考えた藤本は2体でのブロックを許し、《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》が墓地へ。その後《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を追加。

堀はようやく《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を場に出し、《極楽鳥/Birds of Paradise(5E)》を場に出すも、ドローの内容はマナソースばかり。かなり厳しい表情を見せる。

藤本は攻撃の後さらに《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》を。これを《撤廃/Repeal(GPT)》で対処した堀だが・・・ドローがまたも土地でがっかり。
藤本はそのまま《極楽鳥/Birds of Paradise(5E)》に《撤廃/Repeal(GPT)》を撃って一気に攻めきろうという構え。堀は《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》をブロック前に召喚してこれを迎え撃つも・・・削られたライフにとどめの一撃、《心霊破/Psionic Blast(TSB)》!

藤本 2-1 堀


マナクリーチャーを1ターン目に出す。
3回連続でこれを成功させた藤本に対し、1度も成功させられなかった堀。この行動の重要性があまりにも痛く実感された試合だった。

この試合に勝利した藤本は見事トップ8のシングルエリミネーションに進出することが確定した。おめでとう藤本!
堀は19点のままとどまることとなる。他の試合の結果次第では、或いは・・・という形。果たしてトップ8進出は成るのか?(追記:堀は8位で見事トップ8進出を果たした。)


Result: 藤本幹雄 Wins!
たかがマナ生物、されどマナ生物